はさみは覚えてる

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今日、2ヶ月ぶりに美容室に行って来た。
前回まであった
ロン毛をばっさり切ったのは記憶に新しいであろう。
(*知らないって)

しかし私は髪が伸びるのが早いのか、もうだいぶ育った。

そこでいつもの美容室に電話したところ
夕方まで予約でいっぱい。大人気のようだ。
しかし今夜は早く寝なければならんので
夕方から行くと時間がかかる。
さぁ、いかがせむと考えていたら
近所の美容室のことを思い出した。

そこはこぎれいでおしゃれっぽいが
のぞくとやたら男の客もいる。
これ如何に。よし、身を以て確かめよう。

迷わずそこに電話して
T長(男)に切ってもらった。
あまり変えない話だったが
なんか妙に勢いづいて楽しげに切っている。

「後ろ、かわいくしときますねぇ~」と言うので
「はい~」と適当に答えたところ、
あとで鏡でみたらかなり短い。
首すじ全開のめっちゃショートボブになってた。

全体は前下がりのボブなのでそうでもないが
後ろがこんなに短いのは
20歳の春以来であろう。
あの店が男の美容室たるゆえんはこれと見たり。
あなおそろし。

思い出した、あの時は、
女=長い髪と言う概念を持つ
男子と付き合ったあとだった。
切るな切るなと強制され、
いつしか背中まで髪がのびた。
だけど彼とは腹立たしい別れをした。

そしてすぐにいかした先輩と
恋らしきものが始まった。
彼はモテるのに
人魂のような浮世離れした男。
照れ屋でほめ言葉など口にしないのに
いつも心配してくれるひと。

ある日ふと思って
気分転換に長い髪をばっさり切って
おかっぱチックなショートにしてみたら
しょっかーの策略か
明らかにおもしろ人間になった。

絶対わらわれると覚悟して
私がへこんでいると
どうしたことか彼は
「今のほうがええよ」と
頭をいつまでもなでてかわいがってくれた。

心温まるおもいで。
懐かしい愛情がふとよみがえる。
あれは不器用な男の
やさしいうそだったのかもしれぬ。
実際、あの髪型はへんだったと今も思う。
学生証を捨ててやろうと何度思ったか。

だけど今度はたとえだれも、やさしいうそをくれなくても、
あの日のことを思い出せたからしあわせいっぱい。
皆さんには、髪型にまつわる、
珍妙な思ひ出はありますか。

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