時はお盆。
今年はお盆休み関係なく生活している。
楽しくしているが
お墓参りに行けなかったのが物足りない。
私は小さいころ何故か
墓参り
フェチ
の子供だった。
落ちてる葉っぱや、線香のかすを取って、
墓場のすみっこにある
古ぼけた井戸ポンプから
冷たいお水を汲んできて
埃にまみれたお墓を
タオルでこすって綺麗に洗うのが私の仕事だ。
張り切って掃除すると、
おじいちゃんがほめてくれた。
会った事もないご先祖様も
きっと喜んでるとそのとき思ったよ。
そしてものすごく暑い夏の日射しの中、
暫く歩いて親戚の家に行くのだ。
玄関を入るとすでに、お仏壇の匂いがして、
お仏壇には、果物がいっぱいで、
おばちゃんが、すいかを切ってくれる。
そのおじいちゃんも、おばちゃんも、
今では2人とも、
みんなで掃除したあのお墓にいる。
私には実は、
もう1つの楽しみがあった。
墓石に刻まれた「**家代々之墓」とかの
フォントである。
様々な書体、
様々なテイストに感動し、
「うつし絵」ができないものかと
紙と鉛筆を隠し持ってゆき
紙を当てた上から
せっせと鉛筆でこすってたら親に怒られた。
全く罰当たりである。
何年か前に、久しぶりに、
そのお墓に行った。
何だか、全体に古く、暗くなった気がした。
いや、地震で墓が
ばたばたと倒れ、
多少整理された以外は、
本当はそう変わっていないはず。
きっと、変わったのは自分なのだろう。
小さいときはあんなに楽しかったのにな。
大人になるってことは、
楽しいけど、ちょっとは
寂しい事のように思う。
あの夏に聞こえた蝉の声とともに、
あの世に行った皆さんを思い出した。
もう、会う事は出来なくても、
お墓にろうそくを点せなくても、
皆さんが残してくれた愛情は
いつまでもここに生きていますよ。