ぬこ天使降臨

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札幌というある北国の都市では・・・
一晩で30センチも雪が降ると、町が雪にうずもれる。
この町は巨額の費用を除雪に費やしている。
市民一人あたり1万円近くのお金を、雪をはねる(※北海道弁)ためだけに投入しているという。

だから朝になると、バスが通る道や、幹線道路には雪がない。
夜中のうちに建設業のお兄さんたちが、一生懸命どけてくれるのだ。

しかし大雪の次の朝は、決まってバスが遅れる、
除雪を行うと路肩に雪が溜まる。
それを踏み分けて乗客はバスに乗る。
おじいちゃん、おばあちゃんは大変だ。当然、乗り降りに時間がかかる。
バス通りとはいえ、細い道だと、積み上げられた雪山で幅員が細くなり、車両が片側通行になることもある。
そんなわけで、バスの時刻表は、あってなきものと化す。

今日は、用事があったので、
少し早めに着こうと思い、いつもよりも15分早く家を出た。
バスが遅れる分も、見越してのことだ。
そしたらほかの路線のバスはいっぱいくるのだが、私の乗る路線のバスだけが全くこない。
くる気配もない。
隣のおば様はイライラしているのか、しきりに落ち着きなく時計を見て、バスの姿が見える方向に何度も首を向けている。
5分、10分、15分。
バス停で待つ乗客は10人以上に達し、
どこかイライラした雰囲気が流れてきた。

このような場合、悠然を是とする私も
少し内心、いらっとしたとげを感じた。
こんなときに怒ってもしょうがないのだが、
寒いのでなんかイライラした。

そのときである。
ふと、目を向けたバス停の向こうの雪深い道に、
黒と白のぶちぬこの姿が見えたのだ。

およねこぶーにゃんのようにまるまるとし、
雪を押し分けて悠然と歩き、
置かれている車の下にもぐりこんでいった。

この、寒いのにぬこも生きてるんだなぁと思った。
ぬこも、イライラすることあるんだろうか。
そっとお盆にのせた温かいお茶を出してもらったような気分になった。

なぁぬこちゃん。短気は、いかんのぅ。

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