さみしい深海魚

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気づいたらベッドで寝ていて
とても怖い夢を見て目が覚めた。
何もかぶってないので寒かった。

確か昨晩ちょっとだけよと
ふとんの上で寝転んで
えらくまじめな本を読んでた。
そこまでは覚えてる。

なんか一人で海の底に落ちてるみたいな気がした。
きれいにたたまれたふとんの上で、
提灯あんこうみたいに、ねこがこっちを見てた。
まるい目をひからせて。
さしづめ私は音もなく、
背中に硬いとげを背負ったつぼだい。

こんな時間、海の底では、
お魚はどうしているんだろう。
家族で団らん囲んでサッカーでも見てるか。

ひとりの魚もいるんだろうな。
物陰にひそむうつぼ。岩にへばりつく牡蛎。
海底を走るほたて。
北の海はさみしい。魚になるのなら、
あたたかい海でさんごと遊んでたい。

人はさみしい。心があるから。
体があるし、名前があるし、
それぞれの暮らしがある。
だから尊いけど、だからさみしい。

外が明るくなって来た。
ちょうちんあんこうが外を見てる。

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