小さな贅沢

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このなゆとり無き日々の中でも
幸せな給料日はやってくる。

会社員に戻ってよかったと思うのは
バイトのような不安定がないことだ。

それはそれで、頑張れば頑張るほど
お給料にもなって良かったが
そんな生活に慣れすぎると
何かが狂っていきかねぬ。

お寿司、花束、ケーキ。
かわいいもののかずかずたち。
いろんな種類の女のおもちゃ、
現代に生きる、
全国の金子光晴たちが
ありがたくも棒げてくださった、
そんなものとはごぶさただけど
またいつか出会おうじゃないか。

もともと物欲の閾値が低いので
ママチャリ乗って
お昼がにぎり飯でも平気である。
私の欲しいものは物よりも
もっと贅沢なものなの。

だけどたまには
小さな贅沢かましてみようと
お昼にATMに行ってみたら
そこはもはや
恐怖のアナコンダのように
とぐろを巻いた長い列。

私は諦めて
贅沢レベルのつまみを
設定6から1へこっそり戻した。

そして息抜きのために
いかすインテリアショップで
会社で使うコースターと
目に留まった
小さなフィギュアを買った。

そいつはキューピーそっくりで
頭に変なものをかぶってる。
フルーツかぶっているのやら
動物かぶっているのやら。
だけどとってもかわいいんでっせ。

しかし会社に帰ってきて
包みをあけたときに悲しい発見。

この人形

やんか!

キューピーそのものが
そもそも女じゃないという話だが
油断しておった。
頼むから帽子もよいが
ふんどしぐらい
はかせていただきたい。

セクシーキューピーは私の机の上で
はみ出し者の会社生活を
はらはらと見守っている。
あんた、大丈夫かいなと。
さて、行ってきますか。

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